読書新聞:読書ってスパイシー!

読書のブログに変更となりました。読んだ本の感想を載せています。

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天に還る船を読みました。

昨日の夕食は、天ぷらでした。

天ぷらって、時間がかかるんですよねー。

でも、そんな時間の合間をぬって、読者などをしてみたり。

今回は、島田荘司さんと共著となっていたので、どんな話だろう?とワクワクしながら読みました。

共著となっていたもう一人の方は、残念ながら知らない方でした。

でも、多分この人が、もう一人の方の方の探偵役だろうなぁと思いながら、読んでみたり。

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島田さんのファンにはお馴染みの、中村警部が主役なんですが、次から次へと起こる連続殺人事件に、休暇で訪れていた中村警部が巻き込まれます。

顔を赤くペンキで塗られていたり、青龍刀で切られていたり、火がつけていられたり…

田舎でまさかの連続殺人事件。

何が何だかわからない状況から、その地方に伝わる民話が出て来ます。

そして、民話と合致した!と喜んでいた、海老原さんと中村さん。

でも、実は思いがけない悲惨な過去を持っていたのが、犯人だったんですね。

戦争時代の皆の精神状態。

殺すことを何とも思わなくなる、不思議な精神状態。

飢餓により、段々と麻痺していく罪悪感。

それらの戦争の負の遺産が、その後の人々を苦しめていく…。

ラストは、島田さんらしい終わり方でしたが、まさかそんな裏事情があったとは!

という感じでした。

戦争がなければ、今回の事件も起きなかったはず…と考えると、今問題になっている安保法案も、少し見直すべきじゃないかな?と思ったりもします。

皆が気を付ければ大丈夫。

そんなことを言う人もいるかもしれません。

でも、戦争の前には、皆が皆、自分は巻きこまれないから平気と思っていたと思うんです。

戦争が起きてしまえば、昔のように●○万歳!と言って死ぬ人も出てくるかもしれないですし、南京大虐殺のような悲劇も再発するかも知れません。

自分に関係ないと思っていても、自分は知らないと思っていても、自分だけはやらない。と思っていたとしても、巻き込まれると逆らえなくなるのが戦争です。

とはいえ、私は戦後に生まれたので、詳しい話は、小説やニュースなどからしか情報は手に入りません。

でも、ある方が亡くなる前に残した実話の文章を読んだ時に、何故、こんな酷い事を平気で出来たのか?と、そう思えるほどに、戦争ではごく普通の一般人までが、残酷なことを出来るという、一種の心理状態に入るそうです。

この本を読んで、何て酷い!と思ったとしたら、戦争の悲惨さも伝わるのではないかと思います。

古い小説ではありますが、戦争は人ごとじゃない。

そう考えさせてくれる、一冊でした。